せいやし静夜思
床前看月光
疑是地上霜
挙頭望山月
低頭思故郷
疑是地上霜
挙頭望山月
低頭思故郷
詩
※日本で一般に読まれている本文によります。
書き下し文
牀前 月光を看る
疑ふらくは是れ地上の霜かと
頭を挙げて山月を望み
頭を低れて故郷を思ふ
現代語訳
寝台の前に差しこむ月の光を見る。あまりに白いので、地面に降りた霜かと思うほどだ。顔を上げて山の上の月を眺め、うつむいては遠いふるさとを思う。
原文と書き下し文の対照
床前看月光 ― 牀前 月光を看る
疑是地上霜 ― 疑ふらくは是れ地上の霜かと
挙頭望山月 ― 頭を挙げて山月を望み
低頭思故郷 ― 頭を低れて故郷を思ふ
鑑賞
月光を霜に見立てる冷ややかな比喩から、「挙頭」「低頭」という動作の対比へ。わずか二十字で、視線の動きとともに望郷の思いが深まっていきます。日本で読まれる本文は「看月光」「望山月」で、中国で通行する「床前明月光」「挙頭望明月」とは字が異なります(宋代の李白詩集や『唐詩選』は前者、清代の『唐詩三百首』は後者)。
日本で親しまれる理由
日本で最も有名な漢詩の一つ。教科書定番。日本伝来本文は「牀前看月光」「挙頭望山月」
語句
- 牀
- 寝台。井桁や腰掛けとみる説もある
- 疑ふらくは是れ~かと
- ~ではないかと思う
- 山月
- 山の上にかかる月
作者
李白の生涯と作品一覧は作者ページへ。
作られた背景
故郷を離れて旅をしていた若き日の作とされ、開元十四年(726年)ごろ揚州での作という説がある。制作年・場所は確定していない。