ゆうしぎん遊子吟
慈母手中線
遊子身上衣
臨行密密縫
意恐遅遅帰
誰言寸草心
報得三春暉
遊子身上衣
臨行密密縫
意恐遅遅帰
誰言寸草心
報得三春暉
詩
※日本で一般に読まれている本文によります。
書き下し文
慈母 手中の線
遊子 身上の衣
行くに臨んで密密に縫ふ
意に恐る遅遅として帰らんことを
誰か言ふ寸草の心
三春の暉に報い得んと
現代語訳
やさしい母の手にある糸は、旅立つ子の着る服になる。出発の前に、母はひと針ひと針こまかく縫う。帰りが遅くなるのではと心配して。小さな草のような子の心で、春の日ざしのような母の恩に報いられるなどと、誰が言えるだろう。
原文と書き下し文の対照
慈母手中線 ― 慈母 手中の線
遊子身上衣 ― 遊子 身上の衣
臨行密密縫 ― 行くに臨んで密密に縫ふ
意恐遅遅帰 ― 意に恐る遅遅として帰らんことを
誰言寸草心 ― 誰か言ふ寸草の心
報得三春暉 ― 三春の暉に報い得んと
鑑賞
旅立ちの前夜に服を縫う母の姿を描き、母の愛の深さを春の光にたとえた一首。中国では母の日によく引かれる詩です。
日本で親しまれる理由
母の愛を詠む「寸草の心」
語句
- 遊子
- 旅に出る子
- 寸草
- 小さな草。子のたとえ
- 三春暉
- 春三か月の日の光。母の恩のたとえ
作者
孟郊の生涯と作品一覧は作者ページへ。
作られた背景
孟郊が五十歳近くで地方官となり、母を迎えたころの作と伝えられる。