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やうきほくにきす夜雨寄北

李商隠|晩唐|七言絶句

君問帰期未有期
巴山夜雨漲秋池
何当共翦西窓燭
却話巴山夜雨時
詩

※日本で一般に読まれている本文によります。

書き下し文

君きみ 帰期ききを問とふも未いまだ期き有あらず

巴山はざんの夜雨やう 秋池しゅうちに漲みなぎる

何いつか当まさに共ともに西窓せいそうの燭しょくを翦きりて

却かえつて巴山はざん夜雨やうの時ときを話はなすべき

現代語訳

君は私の帰る日を尋ねるが、まだその日は決まらない。巴山に降る夜の雨が、秋の池にあふれている。いつになったら一緒に西の窓辺で灯心を切りながら、この巴山の夜の雨のことを語り合えるのだろう。

原文と書き下し文の対照

君問帰期未有期 ― 君 帰期を問ふも未だ期有らず
巴山夜雨漲秋池 ― 巴山の夜雨 秋池に漲る
何当共翦西窓燭 ― 何か当に共に西窓の燭を翦りて
却話巴山夜雨時 ― 却つて巴山夜雨の時を話すべき

鑑賞

今の寂しい雨夜を、未来の二人が「思い出話」として語る場面へ転じる、時間の重ね方が見事です。「巴山夜雨」の語を二度繰り返すことで、余韻が深まります。

日本で親しまれる理由

「巴山の夜雨秋池に漲る」

語句

巴山
四川の山々
翦燭
ろうそくの芯を切る。夜更けまで語り合う
却
振り返って

作者

李商隠の生涯と作品一覧は作者ページへ。

作られた背景

四川にいた李商隠が北の長安にいる人に寄せた詩。相手は妻とも友人ともいわれ、「夜雨寄内」とする本もある。

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